アメリカの病院

子供の時、肺炎のため日本の病院に三週間も入院した。もう治った気分でいたのに、なかなか退院させてくれなかったのを覚えている。母は乳ガンの手術後、42日間も入院させられた。最近は短くなっているらしいけど、それでも日本の病院は患者を長く入院させてくれると思う。ところがアメリカの場合はかなり違う。さっさと患者を退院させるばかりではなく、ちょっとの病気や手術なら入院もさせてくれない場合もある。莫大な医療費がその主な原因らしい。

アメリカに来たばかりの時、知り合ったばかりの60才くらいの日本人女性が内臓にある腫瘍を切り取る手術をした。野球のボールくらいの大きな腫瘍だった。ところが入院もせずにその日に家に帰ってきたのである。彼女は入院したかったけど、容態が良好なので家に返されたと行っていた。とても痛々しかった。大学四年の時、潰瘍性の大腸炎になって入院した時、三日目に退院しろと言われたけど、医者にお願いまでして、もう一日入院させてもらった事もある。さっさと退院させて、アメリカの医者は患者に冷たいんだなと感じた。

それから、この潰瘍性の大腸炎になった時ベッドの上で苦しんでいると、きちんとした服装をした男の人がまず病室に入って来た。この人が医者なのかな、と思っていると、実は僕がちゃんと入院費を支払えるか確かめに来ただけの、事務関係の男だったのだ。「こっちは病気で苦しんでいるのに、まずは金の話かよ?」と怒りが込み上げてきた。最近、胃カメラをするために病院に行った時も、まず病院の経理関係の事務所に行って、「僕はちゃ〜んと保険に入っていて、医療費を払えます」というような書類にサインをさせられて、しかもそこで頭金を前払いして、それからやっと検査をしていただいた。ところがアメリカでは医療費の払えない人たちも法律で守られていて、救急患者なら無料で治療をしてくれるらしい。全くこのシステムと理屈がわからない。

もうひとつ驚いたのは、潰瘍性の大腸炎で入院した時、氷水をたくさん飲ませてくれた事だ。日本の場合、お腹が調子悪いと暖かな物を飲ましてくれるけど、アメリカでは冷えた水は体の熱を冷ませてくれてとても良いらしいのだ。それからソーダ水も胃腸に良いからと、飲ませてくれた。入院中の第一回目の食事は、ゼリーと具の全く無いスープだけで、あまりにも物足りなかった。そこで「もっとちゃんとした物を食べたい」と文句言ったら、次の日にはなんと牛肉のステーキが出てきた。お腹は調子悪かったけど、わりと美味しかった。

それでもアメリカの病院や医者にも良いところもある。日本って「我慢して病気を治す」て風潮があるし、子供の時は「男の子なら、ちょっとぐらい痛いの我慢しなさい」とよく言われた。だから日本の医者は平気で痛いことをする。ところが、アメリカ人は我慢がないし、すぐ裁判沙汰にもなりかねないので、医者は滅多に痛いことをしないのだ。悪く言うと、やたらと麻酔を使ってくれる。胃カメラでは必ず麻酔で寝かせてくれるので、こっちは痛くもないし、何をやられたかも覚えていない。親知らずの奥歯を抜く時もそうだった。処方される薬は、巨大な体のアメリカ人のために作られているからか、小さい体の日本人にはイヤというほど効くのだ。とにかく、どこに住んでいても病気だけはしたくないね。

Buffet
僕も医者はゴメンだよ!

[2004年7月17日]

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