もっと楽しい演奏会を!

もうすぐ自分の教会の新しいパイプオルガンが完成する。基本的にフランス、ロマン派のデザインに仕上がっているが、ストップ数136の大きな楽器は、どんなスタイルの音楽も満足に演奏できるように設計されている。完成後は毎年一回、専属オルガニストである自分による演奏会が期待されているが、定期的にゲストによるオルガン演奏会もやろうではないかと話が進んでいる。最近はインターネット等で情報が得られるらしく、もうすでに世界中から「いつか自分に演奏させてください」という売り込みの手紙が届くようにもなった。自分の教会には見栄っ張りが多く、できるだけ有名なオルガニストを呼びたいらしい。しかし有名で演奏の上手なオルガニストが必ずしも、この田舎の聴衆に受け入られるとは限らない。聴衆たちが心から「来て良かった」と思える演奏をしてくれるオルガニストに期待したい。

先日テキサス州ダラスのある教会で、ヨーロッパの著名なオルガニストが演奏会をした。ミスも少なく、学術的にも忠実な素晴らしい演奏ではあったが、一般の聴衆の意見は「つまらない」とか「よく分からない」というものが多かった。クラシック音楽のなかでも、オルガンの演奏会は特にこういうケースが多いと思う。もっと一般の人にオルガンを楽しんでもらうためにはどうしたら良いのだろうか。

バロック音楽専門、バッハ専門、フランス音楽専門、現代音楽専門というように専門のジャンルを持っていてそれを売りにしている演奏家がいる。このような演奏会は大学などの教育の場ではとても意味がある。演奏会もマスタークラスもそのオルガニストならではの力が存分に発揮できるであろう。ところが、一般の人々にはそのような「おたくオルガン曲」や「おたく演奏法」は難しすぎるのだ。もっと分かりやすくて、バラエティに富んだ、楽しい演奏会が求められているのだ。

たとえばクラシックの他に、普段親しんでいる賛美歌に基づいたアレンジや、時には全然クラシックではない曲を入れてみたらどうだろうか。できるだけオルガンの機能を発揮して、バラエティに富んだ音作りも大切だ。曲の合間に聴衆とのコミニュケーションをとるのもいい。他の楽器に比べて、オルガンの場合、演奏者の表情が全く見えないからね。パイプオルガンはとても素敵で楽しい楽器なのだから、演奏者の我々はそのことをみんなに教えてあげないとね。

Boring Cat
僕にはどうしても退屈だけどね

[2003年4月27日]

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