テキサスのオルガン事情

私たちがテキサスに移り住むと聞いた時、ニューヨークの音楽仲間たちは大騒ぎした。「テキサスなんて異国だよ。やめなさい。」とか「テキサスなんて人より牛ばっかでしょ。」「あんな田舎にパイプオルガンなんてないんじゃない?」「オルガニスト辞めるの?」とか、もうさんざん言われたもんだった。

ところが住めばテキサスも都(みやこ)だ。アメリカ生活を実感できたのはもちろんテキサスに来てからである。牧場や牛はもちろん多いけど、ニューヨークとカリフォルニアに次いで全米で三番目に人口の多い州である(面積はアラスカ州に次いで二番目)。ヒューストン、ダラス、サンアントニオ、オースチン、フォートワースなど大都市も数多い。それらの都市には大学やコンサートホールの他にいくつもの素晴らしい教会がある。石造りで音響のよい教会、モダンな造りの教会、ステンドグラスの美しい教会。そしてコンサートホールはもちろん、ほとんどの教会にはオルガンがはいっている。オルガン科のある大学には数台のオルガンが設置されている。

ニューヨークには由緒ある教会や立派なオルガンが多い中、老朽化のため修理を必要としている楽器も数多かった。一方テキサスには新しくてコンディションの良いオルガンが多い。「大きいものほど良い」という傾向が強い(人間のサイズもXXL)テキサスでは、もちろんパイプオルガンも大きいものが好まれる。最近有名な楽器はダラスのホールにある、フィスク製の四段鍵盤で84ランク(列)のパイプオルガンだが、実はこれくらいの大きさのパイプオルガンはそこいらの教会にも多くある。フォートワース市ブロードウェイ・バプティスト教会のカサバン製のオルガンは五段鍵盤で191ランク、パイプの数はなんと一万本以上ある(詳しい説明はここをクリック)。もちろんパイプオルガンは小さな町や教会にもある。私たちが住むウィチタフォールズ市(人口10万人)でさえ合計15台のパイプオルガンがある。テキサス州全体では数千台のオルガンがあるんじゃないかな。

清人の教会では1928年のロイター製を1954年にエオリアン・スキナー社が改築したパイプオルガン(詳しい説明はここをクリック)を使用している。このオルガンも老朽化が進み、2003年3月には新しいパイプオルガンが入ることになった。全米で評判の高い若手のダン・ガーランド氏がオルガンの設計と製造を手掛ける。四段鍵盤の演奏台はカリフォルニア州のロバート・ターナー氏によって製造され、100ランク以上、パイプの数は五千本以上。仕上げにフランスからヴォイシング技師が来る(詳しい説明はここをクリック)。テキサスも捨てたもんじゃないよ。

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こんな町にもオルガンがある

[2001年12月28日]

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