パリ旅行記・7日目〜ノートルダム大聖堂

日曜日。朝はまずノートルダム大聖堂へ。セーヌ川に浮かぶシテ島にあるこの巨大な大聖堂は外観に威厳がある。数回行われる日曜ミサのひとつに行ったのだが、今回は特別に大オルガンのあるバルコニーに行き、専属オルガニスト、オリヴィエ・ラトリー氏の即興演奏を間近に見せてもらえたのだ。9時半のミサには講習生10人が参加した。さすがにラトリー氏の即興演奏はすごい。礼拝中の状況に合わせて自由自在にオルガンを操る。祈りのような演奏は非常に美しく、ミサの最後での演奏はパワフルなオルガンの音を存分に披露してくれた。オルガンは長い歴史の中で、あらゆる人が手掛けたが、その中にちゃんとカヴァイエ・コールもいる。ノートルダムでは過去に有名なオルガニストが数多く勤めた。その中でもサン・シュルピス教会のヴィドールとほとんど同期の、ルイ・ヴィエルヌというオルガニストはすごい。彼はほとんど盲目だったらしいが、6つのオルガン交響曲など多くの名作を残している。ヴィエルヌはいつものようにこの大聖堂でオルガンコンサートをしていたある日、発作を起こしそのまま亡くなってしまうという衝撃的な最期をとげる。しかもその時のアシスタントはデュルフレだったという。その時のオルガンの椅子が、バルコニーの横の壁に取り付けられているのだ。ミサの後は大聖堂の中に入ろうとしたが、ものすごい人が入場の長い列を作っていたので、後日オルガン講習会が終わってから再び行ってみることにした。

今日は公開レッスンがなく、ミサや演奏会だけの日なので、残りの時間は自由行動をする事にした。パリでは月の第1日曜日に美術館の入場が無料なので、ルーヴル美術館とピカソ美術館に行ってみた。まずルーヴルだが、有名なピラミッドにある入り口にはものすごい数の人が列を作っている。これでは入るまでに1時間くらいかかりそうだ。じつは「地球の歩き方」というガイドブックによると、待たずにすぐ入れる入り口があるという。その指示にしたがってみたら、本当に待たずに、そして無料で入ることができた。ルーヴル美術館にはとてつもない数の美術品が展示されていて、目が回りそうだった。ニューヨークのメトロポリタン美術館以上の大きさだ。最初の目的はルーヴルで一番有名なレオナルド・ダ・ビンチ作「モナリザ」だ。作品のまわりにはお目当てにしていた人が群がっている。みんな絵を鑑賞することよりも、デジカメで撮影することに命をかけている。こちらも「モナリザ」より、そんな無我夢中の人々の様子を見る方が断然に楽しかった。そして次に必ず見たかったのは、オランダの画家フェルメールの作品「レースを編む女」なのだが、なんと京都美術館に貸し出し中だという。とてもがっかりした。ルーヴルにはフェルメールの作品が2点あるみたいで、もうひとつの作品は見られたが、お目当ての「レースを編む女」は、おあずけになってしまった。あまりにも足が疲れ、お腹もすいてきたので、もうひとつの目玉作品「ミロのビーナス」は見ずにピラミッドの出口から退場。相変わらず入場希望者の列の長さは凄まじかった。

昼食を食べたのは美術館のわりとそばにある「サッポロラーメン」。壁に書いてあるメニューは全て日本語だったが、お客さんは日本人以外が多い。自分はカツカレー、妻は餃子付きの味噌ラーメンを食べた。値段はあまり高くなく、しかもなかなかの味だった。

昼食後、足は結構疲れていたが、入場料が無料なのでなんとしてもピカソ美術館へ行った。この美術館に所蔵された200点あまりの絵画と彫刻、3000のデッサン、88の陶器は、ピカソの死後、相続税と引き替えに、フランス政府に寄贈されたものだそうだ。これだけ多くのピカソの作品を、しかも時代を追って観られるのはすごい。僕の好みであるキュビズムというスタイルの作品は少なかったが、後期のとても変わった絵画はたくさんあった。中でも朝鮮戦争の犠牲者を描いた作品は衝撃的だった。この美術館には、ピカソの作品だけではなく、彼が所持していたというマチスやモジリアーニなどの絵画も数点あった。ちなみにピカソ美術館では写真撮影が禁じられていた。オルセー美術館で見たマネ作の「草上の昼食」に基づいた3点のピカソの作品がある事をあとで知ったが、疲れていてじっくり見なかったために見落としてしまった。

そして今日は最後にパリのモンマルトルという地区の高い丘にそびえ立つ、サクレ・クール聖堂に行ってみた。日本ではよく石段を登らないと行けない寺があるが、それを少し思い出した。歩いてもさほど大変ではないが、ケーブルカーでも登れるようになっている。ここは観光の名所らしく、ものすごい数の人が来ていた。聖堂のある高い丘から見るパリの景色は、これまた素晴らしかった。特にここからの夜景は、たまらなく美しいに違いない。聖堂のそばには、プチトランという蒸気機関車の形をした可愛い観光用バスの出発点があり、約40分でモンマルトルの見所を回ってくれるというので、それに乗ってみた。とうとう足の疲れが限界に近かったので、これは便利だった。作曲家エリック・サティや画家のゴッホなどが住んでいた家の前にある道を通り、有名なキャバレー、ムーラン・ルージュのそばにある停留場で、別のプチトランに乗り換えてサクレ・クール聖堂に戻った。聖堂の中は、写真撮影の他に、私語も禁じられていた。本当は5時半からのミサを見に来たのだが、それはやめて退散。帰りにANOKIという、まるで日本名のようなお店でアクセサリーを数点購入。せっかくここまで来たからと、作曲家サティがピアノを弾いて、画家ピカソをはじめ数々の有名な芸術家がよく集まっていたという「キャバレー黒猫」の跡地を訪問してみた。今ではただのアパートになっていて、面影は全く残っていなかったのがちょっと残念だった。

今夜は6時半頃ホテルに戻ってきたので、近くのコインランドリーで洗濯をした。洗濯機は4ユーロで、乾燥機は10分につき1ユーロ。乾燥には30分費やした。そしてホテルのそばにある中華レストランで夕食。このレストランで食事をするのは今回で3度目だ。普通のレストランと違っていて、食材売り場やケーキ屋のように、すでに作られている物がショーケースの中に収まっている。それらの中から好きな物を選んで、値段はしかも重さで決まる。これが案外低価格で、二人分が約15ユーロで収まるのだ。わりと繁盛している店らしく、お客さんは次から次へと来るが、ほとんどの人が持ち帰りだ。それにしても今日はたくさん歩いた。


ノートルダム大聖堂

オルガン演奏台

ヴィエルヌのベンチ

ルーヴル美術館から見たピラミッド

モナリザを見物する人々

サッポロラーメン

サクレ・クール聖堂

プチトラン

ムーラン・ルージュ

キャバレー「黒猫」跡地

コインランドリー

ホテル近所の中華レストラン

[2009年7月5日]

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