パリ旅行記・9日目〜ヴェルサイユと中華街

フランスオルガン講習会の最終日は、ヴェルサイユ聖堂からはじまった。パリ市内からRERという高速郊外鉄道に乗って、終点のヴェルサイユ駅まで行く。RERを乗った地下鉄のアンヴァリッド駅のホームで、ヴェルサイユ駅行きの電車が入ってくる時は、なんと日本語での案内アナウンスがされていた。ヴェルサイユまでは45分ほどで、パリからそれほど遠くない。

ヴェルサイユ聖堂は今まで訪れた教会の中で、内装の壁がどれよりも白くきれいだった。パリ市内の教会はどれも長年の汚れて黒ずんでいるのだ。これだけ多くのパイプオルガンを観たり聴いたりして、ここまでくると外観も音も同じに感じてくる。今回の案内も昨日同じクリストフ・マントゥー氏。さてパイプオルガンだが、これはどちらかというと古典用だ。19世紀にカヴァイエ・コールが増築したのだが、18世紀のクリコー作によるパイプが数多く残されているために、ロマン派より古典派の音楽が断然合う。クープランなど古典派の曲は音楽のスタイルに合った音が出るのだが、ヴィエルヌの「フィナーレ」やヴィドールの「トッカータ」などロマン派の大きな曲の場合、叫んだかようなリードの音がとても耳ざわりだった。フランクの音楽でさえ、ちょっとつらい。フルート系の小さな音の中には、ロマン派の美しい音もあるのだが。そのために、この楽器では妻がヴィエルヌ作「交響曲第1番」の3楽章「スケルツォ」を演奏した。

午後にはパリに戻り、マントゥー氏による即興のレッスンが組まれていたのだが、せっかくヴェルサイユまで来て、目の前に宮殿があるのに逃すのは愚かだ。ここでみんなと分かれて、僕らは自由行動を取ることにした。韓国人の女の子クララも一緒についてきた。クララは南カリフォルニア大学を卒業したばかり。とても人なつっこく、正直で良い性格なのだが、いざオルガン演奏の機会があると、遠慮なくいつでもどこでも出しゃばる。どうやら、いつも自分は遅れているという劣等感があって、どんなチャンスも逃さないと一生懸命らしいのだ。時々邪魔に感じた事もあったが、なんとも憎めない子だ。

ヴェルサイユ宮殿の入り口には2つの長蛇の列があった。切符を買うための列と、入り口に入るための列だ。12時半に到着して、切符を買うのにはじつに2時間半もかかった。今日は晴れたり、曇ったり、そして雨が降る忙しい天気。途中、雨が降ったりしたが、傘はちゃんと持参していた。待っている間は、クララが一緒にいて、みんなでおしゃべりができたので助かった。2時間半がさほど長く感じなかったのだ。切符売り場のある建物の中にようやく入れたが、そこではチケットを買うために、さらに長い列が続いていた。銀行のカードを使う自動切符売り場には人が並んでいなかったので、そちらで切符をゲット。チケットを買う機械は、フランス語の他に英語、スペイン語、そして日本語が使えた。それに3時以降の入場になるため、割引料金で購入。入り口に入るための列はすでに短くなっていて、その後15分ほどでようやく宮殿内に入場。ここでも飛行場のような荷物検査があった。ちなみに美術館やヴェルサイユ宮殿に来る時は、他の場所で入場券を買っておくか、フリーパスなどを持っていると切符購入の列に並ばなくて良い、とガイドブックに書いてあった。まあ今回は2時間半も並んでしまったが、これもまた良い経験だと割り切った。

宮殿内は信じられないほど、派手な装飾で埋め尽くされていた。なるほど、ここには世界中からこれだけの数の観光客が来るわけだ。特に日本人が多く来るみたいで、ここには日本語での案内もある。アジア圏では日本語だけだ。ヴェルサイユ宮殿の敷地には、宮殿の他に、庭園やマリア・アントワネットの離宮(それぞれ別料金)も見所らしいが、時間がないし、混んでいるし、足がとても疲れたので、90分ほど宮殿内を見ただけで退散。

せっかく仲が良くなったので、その後クララをチャイナタウンに連れて行くことにした。まず、中華のショッピングセンターに行ったのだが、彼女は真っ先に、韓国の激辛カップラーメンを箱ごと(12個入り)買った。翌日には特急電車でイギリスに行き、来週には再びパリに戻ってしばらく観光する予定だそうだが、こんな大きな箱を持って歩くのだろうか。夕食をご馳走しようとレストランを探したが、どこも7時に開店。あと30分待てば良いのだが、あまりにもお腹が空いていたので、開いていたベトナムの食堂で夕食を食べた。メニューはベトナム語とフランス語だけで書かれていて、店員は全く英語を話せない。「私に任しておいで」というクララを頼って、適当に注文した。出てきたのは、揚げた春巻き、白くて太い麺で肉みたいな物を包んだ冷たい前菜、シーフードのチャーハン、そして牛肉のファーだった。パリに来て一番美味しい料理だった、とクララは大喜びだったので、ご馳走した僕らもうれしくなった。よく食べる子で、この後ホテルに帰って、買った韓国ラーメンを少なくてもひとつは食べると言って、お別れをした。


ヴェルサイユ駅に到着

ヴェルサイユ聖堂

日本の本屋「ジュンク堂」

切符を求めて長蛇の列

ヴェルサイユ宮殿内

宮殿の横にある庭

ルイ14世の銅像

宮殿そばにいた大道芸人

クララと中華街へ行った

[2009年7月7日]

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